設備・機械の塗装の保証はどう決めるか|契約前に確かめる6項目

この記事の結論:設備・機械の塗装の保証は、「保証書(契約で決める保証)」と「民法の契約不適合責任」の2本立てで考えます。保証書が無くても請負人には民法上の責任がありますが、その内容は契約で変えられるため、発注前に「対象・期間と起算日・免責・保証の中身・連絡の期限・前提となる記録」の6項目を書面で確かめておくことが、後からのもめごとを防ぐいちばん確実な方法です。保証期間の長さだけで見積りを比べるのではなく、免責の条件まで並べて比べます。
当サイト「塗装naviプラス」は、株式会社ユーコー(工場・設備の塗装を手がける会社)が運営しています。この記事では、工場の設備・機械の塗装を業者に依頼するときに、保証をどう決めておくかを発注側の立場で整理します。法律の条文は e-Gov法令検索の本文を確認したうえで要点を書いていますが、個別の契約の解釈が必要な場合は、弁護士などの専門家に確認してください。記事の最後に、当社のサービスページへのリンクを置いています。
設備・機械の塗装の保証は「保証書」と「民法」の2本立てで考える
設備・機械の塗装の保証は、契約で個別に決める「保証書(保証規定)」と、契約に定めが無くても働く「民法の契約不適合責任」の2つが重なって成り立っています。どちらか一方だけを見ていると、使える権利を見落としたり、逆に保証書の免責で権利が狭まっていることに気づかなかったりします。

保証書が無くても、請負人には契約不適合責任がある
塗装工事の契約は、多くの場合「請負契約」にあたります。民法は、売買の契約不適合責任の規定を、売買以外の有償契約に準用すると定めています(民法第559条)。そのため、引き渡された塗装が種類または品質に関して契約の内容に適合しないときは、保証書が無くても、注文者(発注側)は修補などを求められるのが原則です。
民法の定めは、契約で変えられる
一方で、契約不適合責任の多くは、当事者の合意で内容を変えられる規定と解されています。保証書や約款で「保証期間は引渡しから〇年」「この場合は保証しない」と定めれば、原則としてその取り決めが優先されます。ただし、責任を負わない旨の特約をしても、請負人が知りながら告げなかった事実については責任を免れることができません(民法第572条を第559条で準用)。
| 比べる点 | 民法の契約不適合責任 | 保証書・保証規定(契約で決める保証) |
|---|---|---|
| 根拠 | 民法(契約に定めが無くても働く) | 当事者の合意(書面で確認する) |
| 対象 | 種類・品質が契約の内容に適合しないこと | 保証書に書かれた部位・不具合の種類 |
| 期間 | 不適合を知った時から1年以内に通知が必要(第637条)。権利の消滅時効は別にある(第166条) | 「引渡しから〇年」など、起算日と年数を契約で決める |
| できること | 履行の追完(修補)、報酬の減額、損害賠償、契約の解除 | 多くは再塗装・部分補修。範囲と費用負担は書面しだい |
| 変更 | 契約で変えられる部分が多い | 免責の条件で実質的な範囲が狭くなることがある |
民法の契約不適合責任で、発注側ができること
塗装に契約の内容と合わない不具合があったとき、発注側が民法上求められることは4つあります。まず修補(やり直し)を求め、それでも直らないときに減額や解除へ進む、という順序が基本です。
| 求められること | 中身 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 履行の追完(修補) | 不具合のある箇所の塗り直しなど。請負人は、発注側に不相当な負担を課さない範囲で、求められた方法と異なる方法で追完できる | 民法第562条(第559条で準用) |
| 報酬の減額 | 相当の期間を定めて追完を求めても追完が無いとき、不適合の程度に応じて減額を求められる | 民法第563条(同) |
| 損害賠償 | 不具合によって生じた損害の賠償。債務不履行の一般規定による | 民法第564条・第415条 |
| 契約の解除 | 債務不履行の一般規定による解除 | 民法第564条・第541条・第542条 |
不具合を知ってから1年以内に「通知」が必要
請負契約では、発注側が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないと、修補・減額・損害賠償・解除のいずれも求められなくなります(民法第637条第1項)。ここで求められているのは「通知」であり、1年以内に裁判を起こすことまでは求められていません。ただし、引渡しの時点で請負人が不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この期間制限は適用されません(同条第2項)。
通知した後も、権利には時効がある
通知をした後の権利も、いつまでも行使できるわけではありません。債権は、権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間行使しないと、時効で消滅します(民法第166条第1項)。不具合を見つけたら、日付の分かる形で記録と通知を残しておくことが大切です。
設備・機械の塗装の保証で、契約前に確かめる6項目
保証の中身は契約で決まるため、見積りの段階で次の6項目を書面で確かめておきます。口頭の「何かあれば対応します」だけでは、どこまで対応してもらえるかが後から争いになりやすいためです。

| 項目 | 確かめること | あいまいなままだと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 1. 保証の対象 | どの部位(全面か、指定箇所か)、どの不具合(はがれ・ふくれ・さびの発生など)を保証するか | 「さびは対象外」「変色は対象外」と後から言われる |
| 2. 期間と起算日 | 何年か、いつから数えるか(引渡し日・検収日・工事完了日) | 検収が遅れた設備で、保証期間が想定より早く終わる |
| 3. 免責の条件 | 保証しない場合(外からの衝撃、薬品・熱・水への想定外のさらし方、発注側の指定材料や指図による不具合など) | 使用環境の変化を理由に、保証の対象外とされる |
| 4. 保証の中身 | 再塗装の範囲、材料費・人件費・足場や養生の費用、設備を止める間の費用を誰が負担するか | 補修は無償でも、付帯費用は発注側負担になる |
| 5. 連絡の方法と期限 | 不具合に気づいたときの連絡先・方法(書面かメールか)、何日以内に連絡するか | 連絡が遅れたことを理由に対応を断られる |
| 6. 前提になる記録 | 膜厚の測定値、工程写真、使用塗料の一覧を受け取れるか | 不具合の原因が施工か使用環境か、判断できない |
6番目の記録は、保証を使う場面で原因を切り分けるための材料になります。どの記録を検収で受け取っておくかは、設備・機械塗装の仕上がりを検収で確かめる方法|膜厚・付着性・外観で詳しく整理しています。
工事が建設業法の対象なら、契約書に書く事項として定められている
建物や工作物に対する塗装工事は、建設業法の「塗装工事」にあたります(建設業法第2条第1項・別表第一)。建設工事の請負契約では、不適合を担保すべき責任について定めをするときは、その内容を契約書面に記載することとされています(建設業法第19条第1項第13号)。同じ項には、発注側が支給する材料(第10号)や、検査の時期・方法と引渡しの時期(第11号)も並んでいます。設備・機械の塗装が建設工事にあたるかは、対象物と工事の内容によって変わるため、契約の時点で業者に確認しておくと確実です。
塗料や工程を発注側が指定するときは、保証の扱いを先に決める
発注側が塗料の銘柄や工程を指定した場合、その指定が原因の不具合は、請負人に責任を求められないことがあります。発注側が契約前に、指定と保証の関係を業者と取り決めておく必要があります。
民法は、注文者が提供した材料の性質や、注文者が与えた指図によって生じた不適合については、注文者は修補・減額・損害賠償・解除を求められないと定めています(民法第636条本文)。ただし、請負人がその材料や指図が不適当であると知りながら告げなかったときは、この限りではありません(同条ただし書)。
- 銘柄・工程まで指定する場合 — 社内規格や過去の仕様に合わせたいときに使われる。指定が原因の不具合は保証の対象外になりうるため、業者から「その指定では不具合のおそれがある」という意見が出たら、記録に残す
- 目的と条件を伝えて、仕様は業者に提案させる場合 — 「何年もたせたいか」「どんな環境で使うか」を伝え、塗料と工程は業者が決める。仕様の責任が業者側に寄るため、保証の範囲を広く取りやすい
仕様を細かく指定する代わりに目標の年数と使用環境を伝える考え方は、工場の設備・機械の塗装|見積り前に決めておく3つの判断軸でも取り上げています。
保証期間の長さだけで見積りを比べない
設備・機械の塗装の保証期間について、業界で一律に決まった年数は確認できていません。保証期間の長さは、塗装の条件と保証書の免責の書き方で実質が変わるため、年数だけで業者を比べると判断を誤ります。
保証期間に影響する主な条件は次のとおりです。
- 素地調整の程度(既存の塗膜やさびをどこまで落とすか)
- 塗料の種類と塗り重ねの回数、膜厚
- 使用環境(屋外か屋内か、熱・薬品・水・油にさらされるか)
- 設備の稼働条件(振動、温度変化、清掃の方法)
同じ「保証3年」でも、免責に「屋外設置の設備は対象外」「さびは対象外」と書かれていれば、実際に保証される範囲は大きく変わります。相見積りでは、次のように並べて比べます。
| 比べる欄 | A社 | B社 | 見るポイント |
|---|---|---|---|
| 保証の対象(部位・不具合) | 記入 | 記入 | さび・はがれ・ふくれが含まれているか |
| 期間と起算日 | 記入 | 記入 | 起算日が引渡しか検収か |
| 免責の条件 | 記入 | 記入 | 自社の使用環境が免責に入っていないか |
| 補修時の費用負担 | 記入 | 記入 | 足場・養生・設備停止の費用の扱い |
| 受け取れる記録 | 記入 | 記入 | 膜厚の測定値・工程写真があるか |

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まとめ|設備・機械の塗装の保証は契約前に書面で決める
- 保証は「保証書(契約で決める保証)」と「民法の契約不適合責任」の2本立て。保証書が無くても民法上の責任はある
- 民法の定めは契約で変えられるため、保証書の中身が実際の保証範囲を決める
- 契約前に、対象・期間と起算日・免責・保証の中身・連絡の期限・前提となる記録の6項目を書面で確かめる
- 不具合に気づいたら、知った時から1年以内に請負人へ通知する(民法第637条)
- 塗料や工程を発注側が指定するときは、指定と保証の関係を先に取り決める(民法第636条)
- 保証期間の長さだけでなく、免責の条件まで並べて見積りを比べる
設備・機械の塗装の保証についてよくある質問
- 塗装工事に保証書がない場合、不具合が出ても対応してもらえませんか
-
保証書が無くても、塗装が契約の内容に適合しない場合は、民法の契約不適合責任にもとづいて修補などを求められるのが原則です(民法第559条・第562条)。ただし、不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知する必要があります(第637条)。契約書や見積書に免責の定めがある場合は、その内容も確認してください。
- 設備・機械の塗装の保証期間は何年が一般的ですか
-
設備・機械の塗装について、業界で一律に決まった保証年数は確認できていません。素地調整の程度、塗料と膜厚、使用環境、稼働条件によって変わるため、見積りごとに年数・起算日・免責の条件をそろえて比べるのが確実です。
- 塗装のはがれに気づいたら、いつまでに業者へ連絡すればよいですか
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民法では、不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知しないと、修補などを求められなくなります(民法第637条第1項)。保証書で連絡の期限を別に定めていることもあるため、契約書を確認し、気づいた時点で日付の分かる方法(書面やメール)で連絡し、写真を残しておくことをおすすめします。
- 塗料をこちらで指定した場合も保証されますか
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発注側が指定した材料や指図によって生じた不具合は、請負人に責任を求められないことがあります(民法第636条)。ただし、請負人がその指定が不適当だと知りながら告げなかった場合は別です。指定する場合は、保証の扱いを契約前に業者と取り決めておいてください。
設備・機械の塗装を実際に検討する場合
保証で確かめる項目がそろったら、実際の設備の条件を伝えて見積りを取る段階です。株式会社ユーコーは、キュービクル・配電盤などのメンテナンス塗装から、大型機械設備・貯水タンク・ろ過器などの新設塗装まで、設備・機械の塗装を手がけています。保証の対象・期間・免責の条件は、設備の条件と仕様によって変わるため、個別の見積りの中でご確認ください。
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監修:株式会社ユーコー 代表取締役 沖 裕也(塗装歴25年)/運営:株式会社ユーコー(運営者情報)
出典
- 民法(明治29年法律第89号)第166条第1項、第415条、第541条、第542条、第559条、第562条、第563条、第564条、第572条、第636条、第637条(e-Gov法令検索)
- 建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項・別表第一、第19条第1項第10号・第11号・第13号(e-Gov法令検索)
