設備・機械の塗装で色を指定する方法|色番号・マンセル値・安全色の決め方

この記事の結論:設備・機械の塗装の色は、「色の基準(何で色を伝えるか)」と「色の役割(その色で何を知らせるか)」の2つで決めます。基準は日本塗料工業会の色票番号かマンセル値のように、番号で特定できるものを使うのが確実です。安全や配管の識別を目的とする箇所は、JIS Z 9103(安全色)とJIS Z 9102(配管系の識別表示)のどこまでに合わせるかを、見積り依頼の前に社内で決めておきます。
当サイト「塗装naviプラス」は、株式会社ユーコー(工場・設備の塗装を手がける会社)が運営しています。この記事では、工場の設備・機械の塗装を業者に依頼するときに、色をどう指定すれば意図どおりに仕上がるかを、発注側の立場で整理します。規格の内容は、日本塗料工業会・日本規格協会の公開資料と、公開されている規格の本文で確認できた範囲で書いています。記事の最後に、当社のサービスページへのリンクを置いています。
設備・機械の塗装の色指定は「色の基準」と「色の役割」で決める
設備・機械の塗装で色を指定するときは、まず「どの基準で色を伝えるか」を決め、次に「その色に安全や識別の役割があるか」を確かめます。「グレー」「クリーム色」のような言葉だけでは、業者ごとに思い浮かべる色が違い、仕上がりが既存の設備とそろわない原因になります。

色を伝える方法には、主に次の4つがあります。
| 伝え方 | 中身 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 日本塗料工業会の色票番号 | 「塗料用標準色」見本帳の番号で色を特定する | 新しく色を決める、複数の業者に同じ色を伝える | 見本帳の色票は経年で変わるため、有効期限内の見本帳で確認する |
| マンセル値 | 色相・明度・彩度の3つの値で色を表す | 既存の仕様書や社内規格にマンセル値で書かれている | 同じ値でも、塗料の種類やつやで見え方が変わることがある |
| 塗料メーカーの色番号 | メーカーの色見本・製品の色番号で指定する | 前回の塗装と同じ塗料・同じ色にしたい | 別のメーカーの塗料を使う場合は、番号がそのまま通じない |
| 現物(既存の設備・部品) | 今ある設備の塗膜の色に合わせてもらう | 番号が分からない、隣の設備とそろえたい | 既存の塗膜は退色していることがあり、新しく塗った色と差が出やすい |
どの方法でも、最後は塗った見本(色見本板)を見て決めるのが確実です。画面や印刷物、写真の色は、表示する機器や光の条件で変わるため、色を決める材料には向きません。
色票番号で指定する|日本塗料工業会の塗料用標準色
新しく色を決めるなら、日本塗料工業会(JPMA)の「塗料用標準色」の色票番号で指定するのが、業者に正確に伝わりやすい方法です。塗料業界で広く使われている見本帳で、番号を伝えれば別の業者でも同じ色を特定できます。
色票番号の読み方
日本塗料工業会によると、色票番号はマンセル値にもとづく三属性表示で、たとえば「L15-60V」は次のように読みます。
- L — 発行年記号(アルファベット1文字)
- 15 — 色相区分(有彩色は数字2桁、無彩色は「N」)
- 60 — 明度区分(数字2桁)
- V — 彩度区分(アルファベット1文字)
発行年記号が違っても、ほかの部分が同じであれば同じ色として扱われます(例:P15-90B と K15-90B は同一色)。そのため、過去の仕様書に古い版の番号が書かれていても、多くの場合はそのまま使えます。
見本帳の版と有効期限
日本塗料工業会の公表では、標準色見本帳は2〜3年に一度発行され、最新版は2024年発行の「P版」です。同会は見本帳の有効期限を3年としています。社内で長く使っている見本帳は、色票が退色している可能性があるため、色を決める場面では有効期限内の見本帳か、業者が持っている見本帳で確かめます。
マンセル値で指定する|既存の仕様書に書かれている場合
社内規格や過去の塗装仕様書にマンセル値で色が書かれている場合は、その値をそのまま業者に伝えます。マンセル値は、色相・明度・彩度の3つで色を表す方法で、日本ではJIS Z 8721(色の表示方法-三属性による表示)に定められています。
マンセル値は「5G 5.5/10」のように、色相、明度/彩度の順で書きます。ただし、マンセル値は色そのものを表す値であり、塗料の種類やつやの程度までは表しません。同じマンセル値でも、つやのある仕上げとつや消しの仕上げでは見え方が変わるため、つやの指定もあわせて伝えます。
つやの指定も色指定の一部
設備・機械の塗装では、つやの程度を「全つや(つやあり)」「7分つや」「5分つや」「3分つや」「つや消し」のように指定するのが一般的です。既存の設備とそろえたい場合は、色だけでなくつやも合わせないと、並べたときに違う色に見えることがあります。選べるつやの程度は塗料の種類によって異なるため、業者に確認します。
安全色・配管識別色を使う箇所はJISに合わせるかを決める
設備の中で、危険や注意を知らせる箇所、配管の中身を示す箇所の色は、JISに定められた安全色・識別色に合わせるかどうかを、見積り依頼の前に決めておきます。JISは任意の規格で、どこまで合わせるかは、社内の安全基準や契約の仕様で決まります。業者に任せきりにせず、発注側が決めて伝える項目です。

安全色(JIS Z 9103:2018)
JIS Z 9103は、事故・災害の防止のために、安全標識や安全マーキングに使う安全色を定めた規格です。2018年の改正では、多様な色覚の人や高齢者にも識別しやすい安全色について規定されました。気象庁の検討資料に引用されている、JIS Z 9103:2018の安全色と意味(一般材料等の場合)は次のとおりです。
| 安全色 | 主な意味 | 参考マンセル値 |
|---|---|---|
| 赤 | 防火、禁止、停止、危険 | 8.75R 5/12 |
| 黄赤 | 注意警告、明示 | 5YR 6.5/14 |
| 黄 | 注意警告、明示 | 7.5Y 8/12 |
| 緑 | 安全状態、進行 | 5G 5.5/10 |
| 青 | 指示、誘導 | 2.5PB 4.5/10 |
| 赤紫 | 放射能、極度の危険 | 10P 4/10 |
設備・機械の塗装では、回転部や可動部のカバー、非常停止の周り、手すりや段差など、安全を知らせる部位に安全色を使うかどうかが論点になります。本体と同じ色で塗りつぶしてよい部位と、安全色を残す部位を、塗装前に図面や写真で示しておくと、塗り分けの誤りを防げます。
配管の識別色(JIS Z 9102:1987)
JIS Z 9102(配管系の識別表示)は、配管の中を流れる物質の種類を色で示す方法を定めています。物質の種類と識別色は次の7つです。
| 物質の種類 | 識別色 |
|---|---|
| 水 | 青 |
| 蒸気 | 暗い赤 |
| 空気 | 白 |
| ガス | うすい黄 |
| 酸又はアルカリ | 灰紫 |
| 油 | 茶色 |
| 電気 | うすい黄赤 |
同じ規格では、識別表示はバルブ・管継手・隔壁などの近くに、塗装・ステッカー・札のいずれかで行い、必要な場合は配管の全体に識別色を施すこともできるとされています。流れの方向は白または黒の矢印で示します。配管の塗装を依頼するときは、「配管の全長を識別色で塗るのか」「本体は工場の指定色で塗り、識別色は帯や表示で入れるのか」を決めておくと、見積りの範囲がそろいます。
工場内で設備の色をそろえるときに先に決めること
工場内の設備の色をそろえたい場合は、「どの色を基準にするか」を番号で1つに決めることが出発点です。既存の設備の色に合わせるのか、番号で決めた色に全体を寄せていくのかで、塗り替えの範囲と順番が変わります。
- 基準色を番号で決める — 本体色・架台やフレームの色・カバーの色など、役割ごとに色票番号かマンセル値で決め、社内の仕様として残す
- つやの程度を決める — 色と同じく、つやも設備ごとにそろえる
- 既存の設備をどう扱うか決める — 塗り替える設備だけを新しい基準色にするのか、隣の既存設備の現在の色に合わせるのか
- 塗る範囲を決める — 本体・架台・カバー・配管・手すりのうち、どこまでを同じ色にするか。安全色や識別色を残す部位はどこか
- 銘板・表示ラベルの扱いを決める — 銘板や注意ラベルを塗りつぶさないよう、養生(マスキング)する対象として示す。剥がして付け直すか、新しく作り直すかも決める
なお、部分補修で周りの古い塗膜に色を合わせる作業は、新しく色を指定するのとは別の検討になります。既存の塗膜は退色していることが多く、番号どおりの色では周りと差が出ることがあるためです。
色指定を見積り依頼に書くときの書き方
見積り依頼では、色に関する情報を次の表の項目に沿って書くと、業者からの確認の往復が減ります。決まっていない項目は「未定」と書き、業者に提案を求めてもかまいません。

| 項目 | 書く内容 | 決まっていないとき |
|---|---|---|
| 色の基準 | 日本塗料工業会の色票番号、マンセル値、塗料メーカーの色番号のいずれか | 既存の設備に合わせたい旨と、対象の設備の写真・設置場所を伝える |
| つや | 全つや・7分つや・5分つや・3分つや・つや消しのいずれか | 既存の設備とそろえたい旨を伝える |
| 部位ごとの色 | 本体・架台・カバー・配管など、部位ごとに色を分けるか | 図面や写真に「同じ色」「別の色」を書き込んで渡す |
| 安全色・識別色 | JIS Z 9103・JIS Z 9102に合わせる部位と、合わせ方(全面か帯か表示か) | 社内の安全担当に、既存の決まりがあるかを確かめる |
| 残す表示 | 銘板・注意ラベル・番号表示など、塗らずに残すもの | 現地で業者と一緒に確認する |
| 色の確認方法 | 色見本板(塗った見本)を事前に確認するか | 見本の要否と、確認する時期を相談する |
色以外に見積り前にそろえておく情報(設備を止められる時間、使用環境、既存の塗膜の状態など)は、工場の設備・機械の塗装|見積り前に決めておく3つの判断軸で整理しています。仕上がった色が指定どおりかを引き渡しの時にどう確かめるかは、設備・機械塗装の仕上がりを検収で確かめる方法|膜厚・付着性・外観の外観検査の項目もあわせてご覧ください。
同じ子カテゴリーの記事は、設備・機械の塗装の記事一覧にまとめています。
まとめ|設備・機械の塗装の色指定は番号と役割で決める
- 色は「色の基準」と「色の役割」の2つで決める。言葉だけの色指定は避ける
- 新しく色を決めるなら、日本塗料工業会の色票番号で指定すると正確に伝わりやすい。発行年記号が違っても、ほかが同じなら同じ色
- 既存の仕様書にマンセル値があれば、その値を伝える。つやの程度もあわせて指定する
- 安全を知らせる部位と配管は、JIS Z 9103・JIS Z 9102にどこまで合わせるかを発注側で決める
- 工場内で色をそろえるときは、基準色・つや・既存設備の扱い・塗る範囲・残す表示を先に決める
- 最後は色見本板(塗った見本)で確かめる。画面や写真の色では決めない
設備・機械の塗装の色指定についてよくある質問
設備・機械の塗装を実際に検討する場合
色の基準と、安全色・識別色の扱いが決まったら、実際の設備の条件を伝えて見積りを取る段階です。株式会社ユーコーは、キュービクル・配電盤などのメンテナンス塗装から、大型機械設備・貯水タンク・ろ過器などの新設塗装まで、設備・機械の塗装を手がけています。サービスページでは、色番号やマンセル値の指定に合わせた調色と、工場内の設備の色をそろえる相談に対応していることを案内しています。
※リンク先は、当サイトの運営会社である株式会社ユーコーのサービスページです。
監修:株式会社ユーコー 代表取締役 沖 裕也(塗装歴25年)/運営:株式会社ユーコー(運営者情報)
出典
- 一般社団法人日本塗料工業会「塗料用標準色 色票番号」(https://www.toryo.or.jp/jp/color/standard/number.html)
- JIS Z 9103:2018(図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法)日本規格協会 規格票プレビュー(webdesk.jsa.or.jp)
- 気象庁 公開資料「海水浴場における津波警報等の視覚的伝達手段の検討」(2019年10月29日、筑波技術大学 井上征矢)安全色の表(JIS Z 9103:2018の引用)(www.data.jma.go.jp)
- JIS Z 9102:1987(配管系の識別表示)表1・3.2・5
- JIS Z 8721(色の表示方法-三属性による表示)
