外壁の遮熱塗料は効果がある?効果が出る条件と選び方

この記事の結論
遮熱塗料は、太陽光を反射して、塗った面の温度上昇と室内に入る熱を抑える塗料です。効果が出るのは主に夏の日中で、日射をよく受ける面ほど差が出やすく、色が濃いほど、汚れが付くほど効果は小さくなります。選ぶときは「色」「ベースになる塗料の種類」「耐久性と保証」の順に決め、遮熱性能はカタログの表示で確かめます。
この記事では、外壁に遮熱塗料を塗ると何が変わるのか、効果が出やすい家・出にくい家の違い、性能表示の見方、選び方の順番を、業界団体の資料をもとに整理します。
遮熱塗料とは|太陽光を反射して表面温度の上昇を抑える塗料
遮熱塗料は、日射(太陽光)を反射することで塗膜の温度上昇を抑え、建物に入る熱を減らす塗料です。太陽光のうち熱になりやすい近赤外線をよく反射するように作られています。

遮熱塗料と断熱塗料の違い
遮熱塗料は「熱を反射する」塗料、断熱塗料は「熱を伝わりにくくする」ことを主な機能としてうたう塗料です。日本塗料工業会の資料では、日射を反射する高日射反射率塗料を遮熱塗料の中心として扱い、断熱・放熱を主な機能とする塗料は特殊な用途向けと整理しています。
| 項目 | 遮熱塗料 | 断熱塗料 |
|---|---|---|
| 主な仕組み | 日射を反射する | 熱の伝わりを遅らせる |
| 効果が出る時期 | 主に夏の日中 | 製品の説明で確認する |
| 性能の確かめ方 | 日射反射率、日本塗料工業会の登録品の★表示 | メーカーが示す試験条件と結果 |
外壁に遮熱塗料を塗ると何が変わるか|効果が出やすい条件
夏の日中に日射を受ける面では、外壁の表面温度と室内に入る熱を減らす効果が期待できます。ただし効果の大きさは、日当たり・色・汚れ・季節で変わります。
| 条件 | 効果が出やすい | 効果が出にくい |
|---|---|---|
| 日当たり | 南面・西面など、日射を長く受ける面 | 北面、隣の建物の陰になる面 |
| 色 | 白・淡い色など明るい色 | 黒・濃い色 |
| 表面の状態 | 汚れが少ない | 汚れ・コケが付いている |
| 季節 | 夏 | 冬(一般の塗料との差はほとんど出ない) |
なお、日本塗料工業会が示している性能の目安や、冷房の消費電力が減ったという報告は、屋根に塗った場合のものです。外壁は垂直の面なので、真上から日が当たる屋根より日射を受ける量が少なく、屋根と同じ効果を見込まないことが大切です。
遮熱性能の見方|日射反射率と★の表示
遮熱性能は、カタログに載っている「日射反射率」や、日本塗料工業会の登録品に付く★の数で比べます。
- 日射反射率:太陽光をどれだけ反射するかを示す数値です。高いほど熱を反射します。屋根用の塗料では JIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)が、日射反射率や耐久性などの品質を定めています。
- ★の表示:日本塗料工業会の登録品には、室内に入る熱の割合(日射侵入比)に応じた★が表示されます。登録品かどうかは、商品カタログや容器の表示で確認できます。
| 表示 | 日射侵入比 | 侵入熱の削減率の目安 | 色合い |
|---|---|---|---|
| ★ | 0.8〜0.6 | 20〜40% | 濃い |
| ★★ | 0.6〜0.4 | 40〜60% | 中間 |
| ★★★ | 0.4以下 | 60%以上 | 明るい |
表のとおり、★の数は色の明るさとほぼ連動します。明るい色ほど性能は高くなりますが、汚れの目立ちやすさ、まぶしさ、周りの家並みとの調和も考えて決めるのが現実的です。
遮熱塗料の選び方|色・塗料の種類・耐久性の順に決める
遮熱塗料は「色」「ベースになる塗料の種類」「耐久性と保証」の順に決めると迷いにくくなります。
1.色を決める(明るいほど反射しやすい)
遮熱塗料でも、濃い色は明るい色より効果が下がります。濃い色にしたい場合は、同じ色の一般塗料と比べてどの程度反射するのかを、カタログの日射反射率や★の数で確かめましょう。

2.ベースになる塗料の種類を決める
遮熱塗料の多くは、シリコン・フッ素・無機などの塗料に遮熱の機能を加えたものです。そのため、塗膜の持ちと価格は、ベースになる塗料の種類でおおむね決まります。
| ベースの種類 | 耐久性 | 価格 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| シリコン系 | 標準的 | 3種類の中では抑えやすい | 費用と持ちのバランスを取りたい人 |
| フッ素系 | 高い | シリコン系より高い | 塗り替えの回数を減らしたい人 |
| 無機系 | 高い | 高い傾向 | 長く住む予定で、次の塗り替えまでの期間を重視する人 |
3.耐久性と保証を確かめる
遮熱の効果は、塗膜の劣化や表面の汚れとともに少しずつ下がります。どのくらい持つかは製品と環境で違うため、メーカーが示す期待耐用年数と、施工業者の保証の内容・期間をあわせて確認しましょう。
費用が変わる要素と施工の流れ
遮熱塗料の費用は、塗料の種類だけでなく、塗る面積と建物の状態で大きく変わります。金額は見積書で比べるのが確実です。
- 塗料の種類:ベースがシリコン・フッ素・無機のどれか
- 塗る面積:外壁だけか、屋根も一緒か
- 建物の状態:ひび割れなどの下地補修の量、足場の条件
施工の流れは一般的な外壁塗装と同じです。
- 足場の設置と高圧洗浄
- ひび割れなどの下地補修
- 窓や植栽などの養生
- 下塗り(下地と上塗りを密着させる)
- 中塗り・上塗り(遮熱塗料を2回塗る)
- 点検・手直し、足場の解体
高日射反射率塗料は、自治体の助成制度の対象になる場合があります。お住まいの自治体の制度と、対象になる塗料の条件を事前に確認しておきましょう。
遮熱塗料についてよくある質問
- 外壁に遮熱塗料を塗ると電気代は下がりますか?
-
夏の冷房の負担を減らす効果は期待できますが、どれだけ下がるかは日当たり・色・建物の断熱の状態・冷房の使い方で変わるため、一律には言えません。日本塗料工業会の資料で報告されている冷房電力の削減も、屋根に塗った実験建物での結果です。
- 遮熱塗料を塗ると冬は寒くなりませんか?
-
日本塗料工業会の資料では、冬場は一般の塗料との差がほとんどないとされています。効果が出るのは主に夏です。
- 濃い色の外壁にしたい場合、遮熱塗料を使う意味はありますか?
-
濃い色の遮熱塗料もありますが、明るい色ほどの効果は出ません。同じ色の一般塗料と比べてどの程度反射するのかを、日射反射率や★の数で確かめてから選びましょう。
- 遮熱の効果はいつまで続きますか?
-
塗膜の劣化や表面の汚れとともに少しずつ下がります。持続する期間は製品と環境で違うため、メーカーの資料と施工業者の保証の内容で確認してください。
まとめ
遮熱塗料は、夏の日射による熱の入り込みを抑える塗料です。外壁では、日当たりのよい面・明るい色・汚れの少ない状態で効果が出やすく、屋根ほどの効果は見込みにくいことを知ったうえで選ぶと、期待とのずれが小さくなります。色、ベースの塗料の種類、耐久性と保証の順に決め、遮熱性能はカタログの日射反射率や★の数で確かめましょう。
監修:沖 裕也(株式会社ユーコー 代表取締役/塗装歴25年)
運営:株式会社ユーコー(塗装naviプラス) 運営者情報
出典:
・一般社団法人日本塗料工業会「高日射反射率塗料」リーフレット(2025年版)
・JIS K 5675:2011「屋根用高日射反射率塗料」
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