外壁塗装の基本|依頼前に知っておく工程・塗料・費用の決まり方

足場と飛散防止ネットがかかった2階建て住宅の外壁と青空に「外壁塗装の基本」「依頼前に知っておく工程・塗料・費用」の文字を重ねたアイキャッチ

外壁塗装を初めて検討するとき、「何のために塗るのか」「どんな順番で工事が進むのか」「塗料はどう選ぶのか」「費用は何で決まるのか」が分からないまま見積りを取ると、見積書の比べ方も分かりません。この記事では、業者に相談する前に押さえておきたい外壁塗装の基本を、役割・劣化のサイン・工程・塗料・費用の5つに分けて整理します。

この記事の結論

外壁塗装は、色を変える工事ではなく、外壁材を雨水と紫外線から守る塗膜をつくり直す工事です。工事は「現地調査→足場→洗浄→下地処理→下塗り・中塗り・上塗り→検査」の順に進み、仕上がりと耐久性は下地処理と塗り回数で大きく変わります。塗料は「外壁材に合うか→次の塗り替えまでの期間→必要な機能→色」の順に決め、費用は面積・劣化の程度・塗料・付帯部・足場の5つで決まると考えると、見積書を比べやすくなります。

目次

外壁塗装の基本|塗装が建物にしている3つの役割

外壁塗装の役割は、大きく「外壁材の保護」「雨水の浸入を防ぐこと」「見た目の回復」の3つです。塗膜が傷んでも外壁材がすぐ壊れるわけではありませんが、塗膜が役目を果たせなくなると、外壁材そのものが雨水や紫外線を直接受けるようになります。

初心者マークと小さな家の模型が並び、外壁塗装の基本を初めて学ぶ場面を表したイメージ
外壁塗装は、色を変える前に「外壁材を守る塗膜をつくり直す工事」として考えます(イメージ)
役割塗膜がしていること塗膜が傷むと起きやすいこと
外壁材の保護紫外線や風雨を塗膜が受け止め、外壁材の表面を守る外壁材の表面が直接傷み、反りやひび割れにつながる
防水外壁材の表面に水を通しにくい膜をつくる外壁材が水を吸いやすくなり、カビ・藻や凍害(寒冷地)の原因になる
美観色あせや汚れを塗り替えで回復する色あせ・汚れが目立ち、建物全体が古く見える

このほか、日射の熱を反射しやすい遮熱塗料、汚れが付きにくい低汚染型の塗料、カビ・藻の発生を抑える塗料など、機能を加えた塗料もあります。ただし機能は「外壁材を守る」という基本の役割に上乗せするものなので、先に基本の役割を満たせる塗料と工程かどうかを確かめます。遮熱塗料については「外壁の遮熱塗料は効果がある?効果が出る条件と選び方」で詳しく扱っています。

外壁塗装を検討する目安になる劣化のサイン

外壁塗装の時期は、築年数だけでなく外壁の状態で判断します。次のようなサインが見えたら、塗膜が役目を果たしにくくなっている可能性があるため、業者に点検を依頼して状態を確かめる目安になります。

サイン見え方考えられること
チョーキング(白亜化)外壁を手でこすると白い粉が付く紫外線で塗膜の樹脂が分解され、顔料が表面に出ている
ひび割れ(クラック)髪の毛ほどの細いひびから、幅のあるひびまである幅のあるひびは、雨水が外壁材の内側に入る経路になりうる
塗膜の剥がれ・膨れ塗膜が浮いたり、めくれたりしている塗膜と下地の密着が失われている。塗り重ねる前に下地処理が必要
シーリング(目地)の劣化サイディングの継ぎ目の材料が痩せる、切れる、すき間がある目地から雨水が入りやすい。塗装と同時に打ち替え・増し打ちを検討する
カビ・藻・コケ北側や日陰の壁が緑や黒に変色している外壁の表面が湿りやすい状態が続いている

ひびの幅や深さ、剥がれの範囲は、外から見ただけでは判断できないことがあります。サインに気づいた段階では「すぐ塗る」と決める必要はなく、まず点検を受けて、塗装で足りるのか、補修が先に必要なのかを確かめます。

外壁塗装の工程|依頼してから完了までの流れ

外壁塗装の工程は、塗る作業そのものよりも、その前の準備(足場・洗浄・下地処理・養生)に多くの手間がかかります。見積書や工程表で次の工程が抜けていないかを確認すると、業者ごとの違いが見えやすくなります。

工程何をするか依頼する側が確認すること
1. 現地調査・診断外壁材の種類、ひび割れ・剥がれ・目地の状態、塗る面積を確認する劣化の状態を写真や報告書で説明してもらえるか
2. 見積り・契約工程・塗料・塗り回数・面積・補修内容を見積書にまとめる塗料の製品名と塗り回数が書かれているか
3. 近隣へのあいさつ工事期間・作業時間・車両の出入りを伝える誰がいつあいさつに回るか
4. 足場・飛散防止ネットの設置安全に作業できる足場を組み、塗料の飛散を防ぐネットで覆う足場が見積りに含まれているか
5. 高圧洗浄汚れ・カビ・藻・古い塗膜の粉を洗い流し、乾燥させる洗浄後の乾燥時間をとっているか
6. 下地処理ひび割れの補修、浮いた塗膜の除去、目地のシーリングの打ち替え・増し打ちを行うどの範囲をどう補修するかが書かれているか
7. 養生窓・サッシ・植栽など塗らない部分をシートやテープで覆う工事中に開けられない窓・使えない設備はどこか
8. 下塗り外壁材と上塗りを密着させる下塗り材を塗る外壁材に合った下塗り材が選ばれているか
9. 中塗り・上塗り上塗り塗料を2回に分けて塗り、必要な膜厚を確保する各回の間に乾燥時間をとっているか
10. 検査・手直し塗り残し・ムラ・汚れを確認し、手直しする完了前に立ち会って確認できるか
11. 足場解体・引き渡し足場を解体し、周りを清掃して引き渡す保証書や使った塗料の記録を受け取れるか

2階建ての外壁の塗装では、高い位置で作業するために足場を組みます。労働安全衛生規則 第518条は、高さ2メートル以上の箇所で作業を行い、墜落の危険がある場合に、足場を組み立てるなどの方法で作業床を設けることを事業者に求めています。足場は「省ける費用」ではなく、作業の安全と仕上がりの両方に関わる工程です。

天候も工程に影響します。国の公共建築工事の仕様をもとにした文部科学省の公開資料(第18章 塗装工事 18.1.6)では、塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上、または換気が不十分で結露するなど塗料の乾燥に適さない場合と、外部の塗装で降雨のおそれがある場合・強風時は、原則として塗装を行わないとしています。季節ごとの工事の進めやすさは「外壁塗装のベストタイミング」で整理しています。

外壁塗装の塗料の選び方|種類の違いと決める順番

外壁塗装の塗料は、価格や名前の印象ではなく「外壁材に合うか→次の塗り替えまでの期間→必要な機能→色」の順に決めると迷いにくくなります。外壁用の上塗り塗料は、主成分の樹脂によって大きくウレタン樹脂塗料・シリコン樹脂塗料・ふっ素樹脂塗料などに分けられます。

カラフルな積み木の前で考え込む木製の人形。外壁塗装の塗料をどの順番で選ぶか迷う場面のイメージ
塗料は「外壁材→期間→機能→色」の順に決めると比べやすくなります(イメージ)
樹脂の種類一般的な位置づけ選ぶときの考え方
ウレタン樹脂塗料シリコン樹脂・ふっ素樹脂より耐候性は低いとされる付帯部など部分的な塗装や、塗り替えの間隔が短くてもよい場合に候補になる
シリコン樹脂塗料耐候性と価格の釣り合いから、外壁で採用されることが多い製品によって性能の幅が広いので、製品名と規格の等級で比べる
ふっ素樹脂塗料耐候性が高いとされ、材料費も高い次の塗り替えまでの期間を長くとりたい場合に候補になる

同じ「シリコン樹脂塗料」でも製品ごとに性能が違うため、樹脂の名前だけで比べるのは不十分です。建築物の外装に使う上塗り塗料には JIS K 5658:2010「建築用耐候性上塗り塗料」があり、耐候性の等級が定められています。見積りに書かれた塗料の製品名でカタログを確認し、規格に適合しているか、どの等級かを見ると、業者ごとの提案を同じ物差しで比べられます。

  1. 外壁材に合うか:サイディング・モルタルなど外壁材の種類と、今の塗膜の種類によって、使える下塗り材と上塗り塗料が変わる
  2. 次の塗り替えまでの期間:あと何年この家に住むか、次の塗り替えをいつ頃にしたいかから、塗料のグレードを決める
  3. 必要な機能:日当たりが強い面には遮熱、交通量の多い道路沿いには低汚染型など、建物の条件に合わせて足す
  4. 色:小さな色見本は実際の外壁より濃く見えやすいので、できるだけ大きな見本板や、屋外での見え方で確かめる

外壁塗装の費用が決まる5つの要素

外壁塗装の費用は、建物の大きさだけでは決まりません。同じ広さの家でも、劣化の程度や塗料の選び方で見積額は変わります。見積書を比べるときは、総額より先に次の5つがどう書かれているかを確認します。

チェックマークが描かれた積み木と電卓。外壁塗装の見積書で費用の内訳を確認する場面のイメージ
見積書は総額より先に、費用が決まる5つの要素の書き方を見ます(イメージ)
要素費用が変わる理由見積書で確認すること
塗装面積塗料の量と作業時間は面積に比例する面積が㎡で書かれているか。「一式」だけになっていないか
劣化の程度(下地補修)ひび割れの補修や浮いた塗膜の除去が多いほど手間が増える補修の範囲と方法が書かれているか
塗料の種類樹脂の種類・製品で材料費が変わるメーカー名・製品名・塗り回数が書かれているか
付帯部・シーリング雨どい・破風・軒天・目地などは外壁とは別に費用がかかるどの付帯部を塗るか、目地は打ち替えか増し打ちか
足場建物の高さ・形・敷地の広さで組み方が変わる足場と飛散防止ネットが含まれているか

相見積りを取るときは、各社に同じ条件(塗る範囲・希望する塗料のグレード・補修してほしい箇所)を伝えると、総額の差がどこから来ているかを比べやすくなります。業者の選び方と相見積りの比べ方は「外壁塗装の業者の選び方|相見積もりの比べ方と契約前の確認項目」にまとめています。

初めての外壁塗装で、工事の前に決めておくこと

工事が始まってから困りやすいのは、塗料や価格よりも、工事期間中の暮らし方です。契約の前に、次の点を業者と確認しておきます。

  • 工事期間と作業時間:天候で延びることがあるため、雨の日の扱いと、延びたときの連絡方法
  • 窓・換気・エアコン:養生で開けられない窓の期間、エアコンの室外機を使える日
  • 洗濯物・駐車:外に干せない期間、車を移動する必要がある日
  • 近隣へのあいさつ:業者が回るのか、施主も一緒に回るのか
  • 完了時の確認:引き渡し前に立ち会って仕上がりを見られるか、保証書と使った塗料の記録を受け取れるか

なお、訪問した業者から「今日決めれば安くなる」と契約を急がされても、その場で決める必要はありません。点検結果の説明と見積書を受け取り、ほかの業者の見積りと比べてから判断します。

まとめ|外壁塗装の基本は「役割・工程・塗料・費用」の4点で押さえる

  • 外壁塗装は、外壁材を雨水と紫外線から守る塗膜をつくり直す工事
  • チョーキング・ひび割れ・剥がれ・目地の劣化・カビや藻は、点検を受ける目安
  • 工程は準備(足場・洗浄・下地処理・養生)が要。下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りと乾燥時間を確認する
  • 塗料は「外壁材→期間→機能→色」の順に決め、製品名と規格の等級で比べる
  • 費用は面積・劣化の程度・塗料・付帯部・足場の5つで決まる。見積書は総額より内訳を見る

外壁塗装の基本についてよくある質問

外壁のひび割れは、すぐに塗装しないといけませんか?

髪の毛ほどの細いひびと、幅のあるひびでは対応が違います。幅のあるひびは雨水が入る経路になりうるため、塗装の前に補修が必要になることがあります。外から見ただけでは深さが分からないため、まず点検を受けて、補修が要るか、塗装で足りるかを確かめます。

雨の日や冬でも外壁塗装はできますか?

文部科学省の公開資料(第18章 塗装工事 18.1.6)では、気温5℃以下・湿度85%以上など塗料の乾燥に適さない場合や、降雨のおそれがある場合・強風時は、原則として外部の塗装を行わないとしています。冬でも日中の気温や乾燥時間を見ながら工事することはありますが、工期は延びやすくなります。

工事中は家にいないといけませんか?

外壁の工事は外で行うため、多くの場合、在宅は必須ではありません。ただし、着工前の打ち合わせ、色の最終確認、完了時の立ち会いは施主の確認が必要です。どの日に立ち会いが要るかを、契約前に業者と決めておきます。

見積りは1社だけではだめですか?

1社でも契約はできますが、外壁塗装の費用は面積・下地補修・塗料・付帯部・足場の書き方で差が出るため、複数の見積りを並べたほうが内容の違いに気づきやすくなります。比べるときは各社に同じ条件を伝え、総額より内訳を見比べます。

外壁塗装をDIYでするのはどうですか?

2階建ての外壁は高所作業になり、足場の設置や下地処理を含めると、個人で行うには安全面と品質面の負担が大きくなります。費用の比べ方と、DIYで済む範囲の判断基準は「外壁塗装のDIY費用は何で決まるか」で整理しています。

外壁塗装の施工事例を見比べたい方へ

大阪府大東市・守口市・門真市を中心に住宅の外壁塗装・屋根塗装を手がけるユーコーペイントでは、施工事例ごとに施工期間・塗装箇所・費用と、現地調査で分かったことを公開しています。塗料の選び方や塗装箇所を考えるときの参考としてご覧ください。

※塗装naviプラスは株式会社ユーコーが運営する情報サイトです。ユーコーペイントは当社の住宅塗装事業です。塗装naviプラス自体では施工を行っておりません。

監修:株式会社ユーコー 代表取締役 沖 裕也(塗装歴25年)/運営:株式会社ユーコー(運営者情報)

出典:労働安全衛生規則 第518条(e-Gov法令検索)/文部科学省 公開資料 第18章 塗装工事 18.1.6 施工管理(PDF)/JIS K 5658:2010 建築用耐候性上塗り塗料(日本規格協会)

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